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1. はじめに

シャープの携帯情報機器”ザウルス”は、 大きく見ると PI-3000から始まる PIシリーズと、 MI-10から始まる MIシリーズとに分類できます。 PIシリーズには、Add inというBASIC言語の実行環境があり、 MIシリーズには、moreと呼ばれるC言語で作成したソフトの実行環境があります。 本文書は、 Add inソフトからmoreソフトへの移植を例題に、 moreソフトの作り方を説明しようというものです。

まずは、PIザウルスとMIザウルスについて少々・・・

1.1 PIシリーズのザウルス

PIシリーズ
PI-3000新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-4000,4000FX新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-5000,5000FX,5000DA新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-4500新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-6000,6000FX,6000DA新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-7000新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-6500新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-8000新携帯情報ツール 液晶ペンコム
PI-6600新携帯情報ツール 液晶ペンコム
Mobile-Z※NTT DoCoMo 扱い

PIシリーズのザウルスは、オリジナル 8bit CPUを使用、 全面液晶の画面に優秀な手書き認識を組み合わせた、 新携帯情報ツールとして誕生しました。 ペンだけで使える操作性の良さ、直感的なインターフェースと、 コンピュータが苦手な人でもすぐ使えるのが素晴らしいところです。

PIザウルスのうち、PI-3000,4000,4000FX を除く全ての機種には、 Add inと呼ばれる BASIC の実行環境が搭載されています。 これは、BASIC言語から、開発・編集機能を除いた実行環境だけの物で、 PCでAdd inソフトを作成し、それをザウルスに入れて利用するというものです。 言語がBASICであるのと、マルチタスクを考慮する必要が無い為、 実に作りやすいものでした（難点は実行速度が遅いこと）。

オンラインソフトも、ゲームや占いといったエンターテイメント性の高い物から、 LogBrowser等の実用的なソフト、果てはシェルやターミナルソフトまで、 実に様々なユーザー製ソフトが公開されており、 PIザウルスの成功には、Add inが一役も二役もかっていたと感じます。

MIシリーズが主流となった現在でも、 『Add inソフトがあるから・・』と、 PIザウルスを使い続けている方も結構いらっしゃるようで、 Add in作者のはしくれとしては本当に嬉しい限りです。

（Add inソフトの作成例としては、 『四川省への道』などをどうぞ）

1.2 MIシリーズのザウルス

MIシリーズ
MI-10,10DC液晶ペンコム カラーザウルス
MI-504,506,506DCモバイルビジネスツール パワーザウルス
MI-106,106M,110Mモバイルビジネスツール ザウルスポケット
MI-610,610DCモバイルビジネスツール パワーザウルス
MI-310パーソナルモバイルツール ザウルスカラーポケット
MI-P1-W, P1-A, P1-LA, P1-LP ,P2-Bパーソナルモバイルツール アイゲッティ
MI-EX1パーソナルモバイルツール アイクルーズ
MI-C1パーソナルモバイルツール パワーザウルス
MI-P10-Sパーソナルモバイルツール アイゲッティ
MI-J1インターネット辞書ザウルス
MT-200,200-A,200-S,200-SAパーソナルモバイルツール コミュニケーションパル
MT-300-D,300-S電子メール端末 コミュニケーションパル
ブラウザボード※NTT DoCoMo 扱い

MIシリーズのザウルスは、 カラーザウルス MI-10 として、ザウルス初のカラー液晶モデルとして登場しました。

この機種から、インターネットに接続できるなど大幅に機能ＵＰを果たしましたが、 これはCPUを始めとしたハード／ソフトが全く新しい物となり、 PIシリーズとは別のマシンになった事を意味します。 その関係から、Add in 機能が無くなってしまったのは非常に残念な事でした・・。

しかし、その代わり Add inよりもはるかに高速で動作し、 それまで出来なかった本体データへのアクセスや、 通信機能などをより深く扱える more ソフトが使えるようになりました。 開発キットがなかなか発売されなかった為、 私たちがmoreソフトを作れるようになったのは、1998年後半、 実際には 1999年を待つこととなりましたが、 ともあれ本体機能と同レベルのソフトウェアを作ることが可能になったわけです！

Add in と比べて言語が C になった事に起因する難しさ、 マルチタスクとイベントドリブンを考慮する必要性、 たくさんのAPI関数にクラスライブラリ・・・と、 今までよりも数段難しく面倒になっているのは事実ですが、 これらをクリアしてしまえば、 ザウルスのパワーをフルに引き出したソフトを作ることができるのです。 Add inソフトで速度と機能に苦しみながら作っていた人にとって、 これはとても魅力的な事だと思います。

ちょっとでも興味を持たれたなら、 次からのページを見て moreソフトを作ってみてはいかがでしょうか？(^^)

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